そもそも、アニメ作りたくて芸大なんてのに入ったのに、もっぱら
やってたのがなぜかカメラマンってやつで、実写ばかり作っていた。
少なくともフィルムなんてのを大学なんてので教えてんだから、
就職もそれっぽいのでいくつもりだったのに、かんじんの映画産業って
ヤツがすでに斜陽になってて、例え東映に入れても「10年たったら
(水戸黄門の)カントクできるかもな!」なんてな希望のもてない観測しか
持たせてもらえない状況だったし、いざ入れても下っ端ってやつからやってたら
カメラなんてのはチーフ、セカンド、サード、フォースとムヤミに
階級待ちで、10年20年は下積みでファインダーすら覗けないらしく、
「それじゃあ若い感性はどこで華ひらくのさぁ!」なんて鼻息の荒いヤングには
とうてい業界入りは避けねばならなかった。有力なコネで入社した
知人友人もひとりを除き、1年と映画業界にはのこれなかった。
僕らの作りたい映画ってのは、現存の映画業界では作れるものでは
なかったし、本末転倒にただ「映画が撮りたい!」といってヤクザ映画を
作ってゆくのもひどく筋違いな気がして、当然のように自主上映ってものに
僕らはむかっていった。
ここであらかじめことわっておきますが、ここにいう映画ってのはフィルムで作る
映像媒体の事を指します。ビデオのドラマやプロモを含みません。ですから
昨今に多い「アタシの友だちも映画作っててさあ!」なんていってる人の
話を聞くと、8ミリビデオのアマチュア20分ドラマだったりするのはてんで論外
です。フィルム、を使うのはその質感のエエ感じの惚れ込んでのことであって、
「映像業界」で食ってゆことに重きがあるんでなく、映画が撮りたい!ので
あるんです。自分勝手のようにもひびくんですが、ここで安易に他の映像業界な
所に安住しても、なんら映画クリエーターとして力になるどころか、かえって
妙なクセばかりを貯えるハメになります。
コネをバカにするわけでも、卑下するわけでもなく、ただ使えるんなら使った方が
いいじゃん、とは思う。実際自主上映もはじめ2、3度はなんとかなる。16ミリでも
なく、35ミリだって、お金を用意できる人なら映画を作ることは可能だ。
10分もので35ミリなら機材費、人件費を抜いて150万くらいのお値段で
なんとかなるらしい。しかし「継続」して作ってゆくには、安定した収入が
その映画そのものからかえってこなくてはならない。その点自主上映のあやふやな
映画団体なんてのでは、いちいちお願いして映画館の確保からせなアカンから、
キチンと入場料なんてのでまかなえていけない。系列の映画供給ルートなんてのは
とっくに大手映画配給会社なんてのにガッチガチにホールドされててツケいる
すきもない。おっつけ、自主上映しようにも個々人のバイト生活にも限界があって
「都合できる時間」で映画を作るようになっていった。結婚するものあり、業界に
ウンザリするものあり、いっそアマチュアの頂点めざすものあり、である。
そのどれも納得できなかった。まず自分が作品を作るために自分の時間を作りだせる
環境をつくってやろうと思い、そうなると「会社」なんてのには入っていられなくなる。
基本的に、会社につとめるというのは「時間」を売っていることだ。少なくとも
会社にいる分には会社の仕事をする。夕方5時までを一週間に5日もとられていて、
作品なんか作れるもんか!と本気で思えた。マンガを描くことにした。マンガで
自分ひとり食わせられるくらいにならないで、「映画」なんていってるのも
オカシイって考えるようになってた。
自分がいってきたことを、自分が信じて自分で実現する・・・・たったそれだけのこと
なのだ。それが人にはできない。友人知人が昔語っていたことをスッカリさておいて、
就職、結婚、出産と安住するのを見ていて「そんなもんなんか?」とやけに覚めた
自分が年々大きくなってきた。
私はマンガで未だ食えない。社会人としては最底辺の属する生活。挑みっぱなしの
生活をどう思いますか?でもここで器用に抜け出すわけにはいかない。ここを器用に
すませてはいけないって声がする。スッと切り抜ける方法も算段も他にあったのを
私はことわってきた。一番向かっておきたいことに、ただ向かいっぱなしで終わって
しまうかもしれない恐怖でいまもいっぱいだけど、ここんところを乗り切りたい
ものを、今は「まんが」に感じている。まんがってすごいんだぜ。映画なんかより
とっくに自由で、おおきくて、なんでもできるんだ。だからそいつをモノにしようと
必死なんだ。スンゲー格好悪いんだけど。
だから今は他人にたくさん迷惑かけてる。わたしがマンガなんかを続けるために、
そのことで自分以外の人を巻き込んでたり、ガマンを強いてたりする。でもなにかを
しでかそうと思ってたら、何にもないってわけにはいかない。だから内心ゴメンって
思いながら、それでもやめずにマンガやってる。それくらい、それくらいには
ここは外せない。横道に抜け出すわけにはいかない。ここばっかりは、正面から
ドアをこじあけてやるんだ。これに目を伏せたら、俺、どうにもならないことを
どんどん許して、アカンようになってしまう気がする(いや、なんとかなるんだ
ろうけどね)。
そーゆーわけで、未だマンガ家計画進行中。これが動きださな次の俺ってのが
動けない。山盛り計画あるから、早い方がいいんだけどね。こればっかりは
自分のペースが守れない。B型なのにね。つらいんだけど、なんとかしてやる。
みてろー!ちくしょー!やってやるからなあ!