頭のいい人、というのがいる。要領のいい人、というのもいる。
その手の人は、一般に、世間的には「生きやすい」ように映ることが
多いのかもしんないけど、案外生きづらいケースにぶちあたってしまうことを、
まぁおせっかいながら見かけることが増えた。頭がいいっていうのは、けっこう
面白くも楽しくもないものなのかもしれない。
やっちまったもん勝ち、ってやり過ごそうとする人もいる。実際実利はあがって
結果も入手してるから、一見やっちまったもん勝ちは得のように見える時がある。
デメリットは「その後にやってくる本当の結果」に翻弄され続けるハメになること。
目先のお菓子がおいしそうにみえたのでパクリ、といったら猛毒入りで一生棒にふりました的
損失を被ることの計算が立たない人がこれをする。誰かが罰しなくても、もう本人は
大怪我をしてるものだから、気にしないこと。
そう思うと、どういう生き方してたら、すくなくともマシでいられるかとやや消極的な
ことを考えてみましたら、上手くいってる人というのは、「控(ひか)え」が上手かな、と
思いました。
好きなことがあっても「好きな分、全部!」取らないでおいた人は、きちんと座りのつく
量加減におちついて、他人もそれをやさしく見守れる。
「好きなだけやれる」をどこか人生の中で私達は「楽しくて素敵なこと」と予感しがちに
日々生きてるんだけど、まぁ実際「自分を大事にしてる」って人は少なからず「他人も
傷つけてもしかたがない」がどこか前提条件に入ってる。好きなことを、好きなだけやれると
喜べるのは「自分の感情」であって、いったんその喜びが強化されると、次に、次にと
ただエスカレートしてゆくだけの地獄の苦しみが際限なく続く。結果、「苦しさもやたらでかくなる」
仕組みに自分で乗り込んでいってるようなもので、まぁおおむね「くたびれ」たり「つかれ」たり
してダウンしちまう生き方になる。
「刺激をもとめちゃいけねえ!」とかいう苦言を呈したいんじゃないよ?エッセイだからね。
この頃思うのは、人ってのはそこそこ馬鹿じゃねえといけないな、ってこと。
頭がいいと、計算しちゃって、それも「計算の利く範囲」でしか計算できてないもんだから
結果からいうと「あんまりよかねーなー」って場合が多いように感じるのだ。
なまじ計算ができなけりゃ、計算をしないで突き進む「バカの暴走」みたいなもので
予想も立てにくく、あんがい周りが「受け入れるしかない」って手合いで歓迎されたり
する人がいるものなのだ。
また、計算の立たない人ががんばって進んでると、人って、助けるんだわ。
かといって「好き放題・やりたい放題」の人ってのはバカが過ぎて助けがなくなって
当たり前のように滅ぶ。黙殺される。かまってる時間が惜しくなる人が増えるみたい。
自分のやりたいこと、いいたいことを、決めて、考えて、思っておくことはすごく大事よ。
でもそれをする時には「控える」ことも覚えておくのがいい。
控えて出せば、相手には自分のやりたいことが察せられるし、他人を押しやってまでの
わがままさを相手に感じさせないので、居場所を作ることができる。
人は自分の趣向、性格こそが一番!って思うようにできあがってるんだけど、節度ある大人が
これをゴリ押してこないのは、生きることが上手でいるためには「自分を押したってうまくは
いかない」ことを体験してきたからですよね。
かといって「自分なんてのは出さないにこしたことはない」だなんて馬鹿すぎます。
「他人のために生きなさい」だなんて冗談じゃありません。自分のために生きなさい。はい。
誰かのために生きる、だなんて無責任でひどいことです。そんな「生きやすさ」をされたら
相手が迷惑することくらいは知ってなくちゃ。
生きるには、控えめにね・・・とかいう格言めいたことがいいたいんでもないの。
控えなくたっていいですよ、はい。
でもうまく進めてる人は、上手に控えてるね。とても上手にそれをやる。
・・・・ってのが最近の私の観察感。
上手い人ってのがいるよ。
じゃあ私はそれをしてるか・・・・いーや無理。うまくはない。
でも頭でしのごうとしてした失敗はたくさんある。恥ずかしいくらいある。
やりたいことがあるのなら、やりたいことを大声で叫んだってしょうがない。
叫び上手になりたかったんじゃないよね?
言葉で上手にいいたかったわけじゃないよね?
やりたいことを、やりたいんだよね?
じゃあさ、控え上手やってみませんか。こういう間合いを上手く教える文化教室とかあったら
盛況だとおもうけど。あ、マナーとかいうのかな、こういうの。エチケット。
うまーい「控え上手」にときどき出会うと、心がウルッとします。
そのさりげなさ、に。
その育ちの綺麗さに。
「控える」って考えてするっていうよりも、人のしつけのようなものですね。
これが上手い人は、本当にすんなりどこでもきれいに生きてるもん。
そしてそのうまさは誰ともなんともくらべられない空気のような存在感なんだなー