そしてやっぱりコメットさん

最終回を見てしまいました。泣けました。やっぱり素敵な作品
でしたから、大変いい気持ちでもあります。

さっそくレンタル店にいって、さっそくハナからコメットさんを
見返しております。で、やっぱり素敵なんです。メロンメロンです。
うれしがるしぐさは顔をすりつけてスリスリしてるし、すねる顔も
キチンとすねてるし、驚く時は遠慮なく激しく驚くし、よけいな
表情がなくていい気持ちだ。

子供向けアニメでしょー?くらいに思ってたらオオマチガイです。
この作品は「大人をやってる人」にしっくりくるはずです。
「大人をやってる」のはなかなか難儀なものですし、忘れてたり、
困ってたりするときにどこかにあてがあったら安心でしょう?
自分のやってることに「言葉」がみあたらない時に、立派な論文や
各種の難解な書籍、宗教、科学に突破口を求めるのはカッコつけすぎ
だし、随分とムダがある。そんなら「コメットさん」ひとつ見るだけで
ダイジョーブなのよ。これでいいのよ。これでいいのさ。

優れたしぐさ、というものが存在する。
いいしぐさは人を魅了する。コメットさんのスタッフはそこいら辺が
とても質素に楽しく、可愛く、魅了する絵で描いてくれてる。
作品の姿勢がすでにいいので、キャラクターが使う言葉、しぐさ、目線、
思惑がシャッキリしている。

あと、BGM集聞いてて思ったんだけれど、とても繊細にメロディライン
が仕上がってる。派手にしないまま、こころの流れがするすると
線をたどって進んでいく。するすると、するすると。
力づくでもっていくことはないし、かといってノタノタと滞ることも
せずに、ホントにセンスいいなぁと感じておるのです。

コメットさんは人を喜ばせようとして、「ほしちから」を時々使って
「失敗」をする。勝手に野菜を育てちゃったり、ねんど細工に命を
吹き込んだり、喜ばせるつもりが、相手のためにならないことがある。
そこをメテオさんがキチンと「そーじゃないでしょっ」と叫ぶ。
優しさだけじゃてんで足りないものを、コメットさんとメテオさんは
補完しあいながら、生活をしていく。順繰にそうしたものを見せてくれるので
子供にも難しそうなことが理解できる。

「コメットさん」には、私が作品でやりたい感情がもりもり入ってる。
私が作品でつむぎだしたいしぐさやエピソードが気負いなく、
自然に入っている。頑張って到達させるものでなく、自然にしてて
スイとだれにでも心当たりのあるところのものへ触ってくる。


一週間ほど、やんごとなきパリとも掲示板の方をば喪に服すつもりで
コメットさんについて考えておりました。そして自分の作品づくりに
ついても猛省をくり返していました。いい作品の前では作品と言うのは
他人ごとではないなにかになってしまうんですね。
地味かもしれないし、アニメファンにはグイグイ入り込まない作品
かもしれません。うちきりになった放映ではありますが、この作品の
素敵ぶりは長く人々に記憶されるべきです。本当にそう思います。

「じぶんみがき」という言葉を気負いなく発露させる作品。
いいですね、とてもいいですね。

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