作成日: 14/10/18  
修正日: 14/10/19  

新しいものを知らない

子供たちに本気のどきどきを


オリンピックが東京にやってくるんだね。リニアモーターカーも開通するんだね!
すごいね!

オリンピックは2度目だね。前回のは国威高揚に大いに役立ったんだね。物語も増えたね。
新幹線以来の「科学技術」の発露がリニアモーターカーだね。東京ー名古屋を40分だなんて、
それこそ学校の授業1コマ分の時間で移動できちゃえれば、もう仕事も遊びも「行動範囲」を
ぐんと広げられますね。

さて本題。
ふたつとも、まだ開催も開通もしてないんですけど、どっちもなんだか「再燃!」っぽさが
つきまとうイベントに感じるのでした。つまり、これを決めた大人たちの皆さんが
「かつて自分たちを鼓舞してくれたあの感動を!」みたいな土台に立脚したイベントにみえてくるの
でした。

経済効果や世界へのアピール、って言葉も飛び交います。
ふんふん、なるほど、そういうのもあるでしょう。
こういう大きなイベントの腰は「誰も味わったことのない」感情のわき上がりこそが肝心と思うのですが、
基本的にすでに「2番煎じ」くさくて、どうも自民党系統の、古くさい発想が香るのです。

「新しい感情」に出会いたいものです。

今ってさ、世の中に「ロボット」が出回りはじめてるじゃない。お台場にはガンダムとか実物大が
立ってたりするじゃない。
でもさでもさ、私の幼少時にもさ「世界のロボット博」みたいな催しがあって、可動部分は少ないに
しても「乗り込めるロボット」とか展示であったじゃん。あれほどの「乗り込んだ!」という体験の
ショックさってさ、今、足りなんだと思うんです。

大事なのは「今みんなが本当は『足りてない!!』って叫びだしたいほどに感じてる飢餓感」への
返事であって、「かつてはこれで盛り上がってたよねー、俺たち」的な、どこか感傷さすら感じる
イベントや開発じゃないんだと思うんです。

や、すごいですよ、40分で東京ー名古屋。すごいんですよ、うん。
オリンピックを世界のよその国でなく、日本に引っ張ってきた器量と言うか、誘致戦略もすごいことですよ。
そりゃあみんな自分の国で催したいってところを、アジアのこの国にチョイスさせたのですから。

アリモノを、知ってるものを「投入し直す」ようなだけのショックさ療法では、足りない。
みんなが何となく知ってて、何となくいいものであることが分かってて、文句もあんまりつけにくいものが
まかり通ってしまってること、そのものが、なんだか、イヤーなのです。

万博の太陽の塔ほどのさ、「わかんねー!わかんねーけど、すげーーーーー!」ってなっちゃう類いの
新しさをボスン!と生み出すバイタリティーへの勝負っていうのかな。誰も彼もが味方にも敵にも
なろうにも判断がつかないような「新しさ加減」ことが求められてることだってのに、そういう感情の
部分へは驚くほどに無頓着なのはなぜなんだろう?そここそが肝なんじゃないの?そこの感情に
触れかけていくからこその、盛り上がりなんじゃないの?

若い人は「新しいものがガツンとぶん殴ってきた!!」っていう体験則が圧倒的に足りてないと思います。
大人たちがだらしないと思います。新しいものって、もっとリスキーな空気をはらんでて、
「ああっ、少しつまづいたら台無しなほどの大失敗になっちゃうかも!」というスリルに満ちてる
ものです。新しいからです。分かんないからです。

それがリニアとオリンピックに、どうもうまく嗅ぎ取れないのです。味わうべきはそこだと思うのです。
「失敗しにくいもの」ではなく「失敗しちゃうかもしれないことを、大の大人たちが騒ぎ立てて
弱りはじめてもいるのに、やろうとしてる!!」と子供たちが察しちゃうような事柄こそが、
今この国に一番のカンフル剤になると思うんです。