作成日: 15/02/21
修正日: 15/02/21
花とアリス殺人事件見ました
ロトスコープなアニメ
(前置き)表題にある映画の内容を云々するエッセイではありません。
朝起きて、映画なんでもいいから久々に見たいなーと直感でネット見てたら、岩井監督の
アニメがやるってんで、ああ、ちょうどいいなーと観に行きました。
や、実写版「花とアリス」を見た人ならピンと来るでしょうが、とってもゆるやかな作品で
空気感を味わえればそれでいい作品だと思います。
しばらく映画館で映画を見ていなかったこともあります。あと、映画館で映画の如何によらず、
その日から生活にビミョーに変化を感じるっていうのが私の中でジンクスといいますか、
性癖といいますか、ナニガシカのペースの変化が起こるのです。
その見る映画が好きとか嫌いとかでもないんですけど、ちょっとした分岐になります。
不思議なんですよね、とりたてて大きな事が起こらない時に、気分転換をかねて観に行く映画は
なんだか気持ちがいいんです。
「殺人事件」を銘打ったタイトルですが、すんなり学園もので見れればいい映画です。
アニメっていうよりも、映画です。新海監督や磯監督の名がクレジットにあるように、
これに加えてロトスコープ多用のアニメ。プロダクションI.Gは「ピンポン」のアニメでも
「実写カメラを意識した描写」を多用されていましたけれど、この作品はどこか
アニメアニメしないまま、映画をやってくれていて、とてもほっとします。
映画、が見たかったんです。映画、がみたかったので、しばらく映画館にいけなかった
気がします。作り手の意図や、芸能事務所の事情や絡みの全然香ってこないものが
見たかったのです。
だって、映画って、そういう軽さが大事じゃない?
映画館でみるんだもの。芸能人のつながりも見たくないし、仲のいいとか悪いってのも
全然「気にしたくもない」んです。
テレビについて、どなたかが語っていましたけれど、「モンタージュのないドキュメンタリ」
みたいなもので、役者さんというよりも、役者その人に人格を探し出すようなメディアと
定義されてて、ああ、だから「映画」を見たいんだ、って思ったことがあります。
それが今回の「花とアリス殺人事件」という作品ではすとんと腑に落ちたんです。
蒼井優さん、鈴木杏さんという「素の人」を見せるようで居て、やっぱり「映画」になっていて
ちゃんと見ていられました。ほっとしました。
作品にはどこか夢見る力を「感じたい」のでした。
空想の、妄想の、言葉で語る、っていう分かりやすい部分じゃなくって、
「ただ、ぼーっと見ててよくて、テーマも確信めいた主張もノーサンキュー」なときに
映画を見たいんです。それに応えてくれるものって、世の中に案外少ないんじゃない?
上にいう「夢見る」っていうのは、希望で胸がパンパンになるっていうものじゃないんです。
「兆し」みたいに、ぼうっと気力が備わる感じ。
「花とアリス殺人事件」は見終わってから、そんなような、モノイワヌ感じのぼーっとした
じわじわくる元気に触れた気がして、「ああ、よかった」って思えたんです。
映画が嫌いじゃなかったんだ、とも思えたし、やたら大量に生産される普段の映画のほとんどは
「見たくなくてもよかったんだ」ても思えたのです。
日本以外じゃ作れないアニメだし、感性だし、岩井監督の「本領」とも違う作品だから
凄く良かった。その抜け具合といいますか、過ごし方といいますか、空気感の清涼さが
欲しかったんだって、「この映画見てから、やっと語彙を見つけた」ような気がしたのです。
そういうのが作品ってものよね。そういうのが映画にこっそり、たっぷり、期待してるものよね。
「えーっと・・上手くいえないけど、あの作品見てよ」っていえる作品は、やっぱり出会うと
うれしくなります。
あんまし日本のあちこちでやってる映画って訳でもないかもしれないですが、ちょっとおでかけ
気分で観に行くにはいい映画です。オススメー。
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