ビリ部、とは「ビリヤード部」の略称である。昨今こいつを
創設して、部長の地位を獲得したが、「部長!ビリヤードする
から来い!!」などと、便宜上もいいとこの名誉職なので
ある。
さて、なぜ今ビリ部、なのか?日記形式で追ってみよう。
1997.9.26
昨晩、バイトUPして山口君が「ながやさん、行くんスか?」
と、いうので「ハ●ラー」にゆく。アマチュア、の最上
クラスの「SA」級の人のいるところで一時間突く。
ムショーに自分の「下手さ」がわかった。一度落とし損じたら
3つ、4つと続けて落してくれるのが上手いビリヤードなのだ。
イージーすら外すオレに、ブレイクで4つも落す山口君。
その山口君すら圧倒させ「もう、ここに来んのはやめ
ましょう」とまで言わせるこの店のエラい人は、さり気ない
関西弁をつかうカッコエエムードの凄腕らしいのだ。
キューなど落そうもんなら、きっとギッタギタの
ベッコベコに へこまされるんじゃないかと、
ヒヤヒヤして一時間突いた。
ここのキューといい、台といい、シックでキレイだった。
なによりフンイキが「エー加減なことすんなよ」と見すかした
シロートをはばむムードでいっぱいだった。
久し振りに「うまくなりてぇ!!!」という熱い決意が
こみ上がり、その足で夜中のU−Fac幸田へ直行し、
2〜3時間練習した。他の台には誰もいないし、愛想する
他人もいないので、心置きなくドンドン突く。イージーすら
入らないのは真直ぐ打ててないからだし、力まかせなのは
それだけ「ゆっくり打てない」くらい、
キチンと コントロールできてないからだ、
と思い、よほどのことがない限り、
スピンをかけないでラッキーのラックを期待しないで遊ぶ。
こちらが外せば相手がラックするのだ(相手が上手い人に
限ってだけどね)。これはカンタンなことじゃないか。これは
人生でもそうだろ?だから上手くなりたいと思った。落す方に
まわってやろう!とビリヤードには思えた。騒ぐんじゃなく、
遊びたいのだ。上手く。
真直ぐ突く、とは真直ぐ引く、ということで、きれいに
スイングできててトーゼンなのだ。イージーも落せないとき
「落せない」が問題じゃなく、上手い奴が次のラックを最後の
ナインまで立て続けにおとすのだから「お前がやり損じりゃ、
最後まで頂く」ことが相手が上手けりゃやれるのだ。ナインを
狙ってくる奴だっているだろう。それはそいつのさもしい
人柄で、上手い人は順ぐり次の手、次の手のラックを算段して
、その都度違ったテクニックで落す。
上手くなりたい、というのは落せない自分、まして手玉を
落しちゃったりすると「次の順で全部終わらせるよな、山口君
なら」と容易に想像がつき、「ああっ、負けた!」
と分かる瞬間が悔しくてならないのだ。
こちとらとっくり狙いをつけた手玉が真直ぐにも行かず
てんでコントロール外なので、おっつけ乱暴な気持ちで
突き始めたりする。ラッキーなラックが期待できても、それは
練習ではなく、自暴自棄という
「失態」の時なのだ。
自分がまず自分に負けたな、
と向いあえるのである。
「お前、ほら、あきらめたろ?今」と自分と相手に
バレるので ある。
ビリヤードを上手くなりたいとは、「ポーカーでポーカー
フェイスを保てるくらいには自分を律せ」られてることが前提
だから、自分、という人柄に厚みをつけなアカンことにも
つながる。そこいら辺からめて「ビリヤードが上手く
なりてぇ」とはまさにまさに本気の沙汰なのだ。
ソフトタッチで落せるものを、ソフトタッチで打てないのは
自信がないからで、上手い人ほど加減ないあんばいで
丁度 落す。ソツなくムダなく丁度、落す。
昨晩はキューをポトポト落す連中の音がよく聞こえ(ほら、
もうエラそう!)、手玉を外に落す音がドスドス聞こえ(ほら
もう高飛車!)打ってはキャー、外してはワーとやかましい
連中が沢山いたが(昨日までそっちの人のくせに)、そんな
ヨユーなんてないくらい真剣に突いてみせないと、こっちは
恥ずかしい、と思っているのだ。「ちゃらんぽらんで下手」の
方が「真剣に下手」よりらくではあるけど、
人として下劣だ。
従って「真剣なのに下手」を
続けてる。毎晩なのである。
ひとえに「うまくなりたい」のだ。ビリヤードは上手い方が
いいよ、ホント。
新年あけて、バイトが終わりかけに山口くんがきた。「ながやさん
行きましょうか?」とスイングするアクション付きで言うので、
うきうきしながら2時間ほど突く。
さて、あらかじめ言っておくがこの年末年始、あいてる時間は
ビリヤードかホームページ作りで費やしていた。東京から帰って
来てる後輩なり、奥さんの風邪の介護から解放された夫などが
「遊びましょう!!」と言ってくるなりしても全て「よし、じゃあ
ビリヤードね!」と持ち込んできたのだ。それ以前に夫婦ともども
ビリ部員の金子家夫婦がスキを見つけては「行きましょう!」と
2時間はつきあってくれるので、まがりなりにも数は打ってきた。
この日は静かな自信が沸々煮立っていたのだ。
実際、はじめの2打はよかった。出だしで山口くんに辛勝し、
2ゲームめでブレークで@、Hが落ちたのだ。鼻血が出そうに感動
した。脳にアドレナリンじゅわ!で、「もういいっ、楽しかったっ、
もう帰りましょう!!」などと叫んでいた。おもむろに山口師匠は
ジャランと玉を並べつつ「いやいや・・・このままじゃ帰れませんよ
」とおっしゃるので、にわかに本気をおだしになられて、やはり続け
ざまに3つ、4つとズバーン、ズドーンと当たり前のようにラック
なされた。
たった1時間が通常の倍のスピードでサクサク決着するゲームで、
2倍3倍もの濃厚さで長く感じた。「ふ〜〜〜っ」とため息をついて
時計をみるとまだたったの30分しかたってなかったりした。
それでもこの日はイツモの「完敗」などではなく、勝っては、負け、
といいあんばいでゲームできた。イージーも入るし、スピンも
ちょっぴり効いた。山口師匠も「ちょっと今日は口数減りますから」
と、男のビリヤードを展開された。そしてやはり人を殺しそうな
ショットから、乙女もかどわかすインビなソフトタッチまで、
あらかたの打ち様でラックしていった。
結局2時間突いたが、さすが師匠はいつも通り、残り30分を
「ティーチング・タイム」にして、この日はバックスピン、押し玉を
特訓頂く。この時間の体得が日々ビリ部のメンツとの練習で、少し
づつ身になってゆくのだ。かすめとれるだけ片っ端から
ブン取っちまえ!と雑な気持ちで、技術の搾取をこころがけているのだ!
そーゆーわけで、珍しく悔しくないゲームができた。
自分の手玉はビリヤードを上手く進める手玉であれ。目下の狙い玉
は狙いすましてラックしろ。でもそれが「目的」じゃないから
勘違いするな。狙ったところは鋭く落せ、でもそこに意識を食われる
ことはいけない。それが「上手くやれ」ってことなんだ。
「手玉」を殺さず、「狙い玉」はスルドく落せて、次点の狙いは
十分照準できていること。かみつくようなつもりで。誰ひとり逃さず
、許さず、「お前がラックしておけば、お前の勝ち」なのだ。相手が
自分に順番まわすのがヤベえ!と思うくらい、自分が最期までラック
しちまえばそれでいいのだ。それくらいには上手くなっておきたい。
ひとりでも鍛練できるところ、だもの。