ふたりともプロ、であって、「努力してる」なんてもんじゃなく、
「能力を使い切る」ことで、結果に真正面から
立ち向かっていて、本当に観ていて楽しい。ふたりとも
お互いの凄さに押される様子ではなく、むしろ自分に
怒っている様子が良く見えて感心した。勝つ、というのは
相手の能力もさながら、本人の気持ちが大きい。相手を
把握するのは本人の心なんだし、負ける、と思うなら
本人の心が認めたってことなんだ。
相手がうまくやってのけた失点にしても、読み切れない
本人の心もとなさを悔いる、そうしたプロ根性が
ブラウン管からバンバンつたわってきた。
さすが、世界の頂点に集まる人たちのプレーは日常を
忘れさせる迫力満点のショーだ。ゲームから志がドスーン
ドスーンと重みを放つ。お互いのコートにあって、
お互いを観てないな、って思った。いや、みてるんだけど、
目がね、遠いの。1ポイント1ポイントの失敗だの、
成功だのの一喜一憂が少なく、試合における本当の問題が
その相手によるものだけじゃないことをいよいよ
感じさせる。ベクトルのてんで違うふたりだから、テニス
ったって、なんだか異種格闘技の趣(おもむき)さえ
あるんだけど、もう「とっくにうまい」せいか、気持ちの
抜けた方が負ける持久戦が、もうお人柄比べのような
ゲームなの。
発揮しきってる二人は均衡するけど、気持ちの及ばな
かった「ぬかり」のある方が負け。ああ、スポーツって
いさぎよくて、わかりやすくっていいな。私は伊達のもつ
「しなやかさ」がほしい。おごらず、あせらず、試合の
向こうに期待している何かを「希望する」んじゃなく、
「もう土足で乗り込みかけてる」姿勢が本気すぎて
観てる人が心痛めちゃう本気本気ぶりが、いーなー、
いーよなーと、思っちゃうのだ。